川田 航平氏

FOCUS ON CREATORS #1

スチール
ムービー

今ある大切な何か。
届けたいのは「気づき」を生む余白

川田 航平Kohei Kawata カメラマン/株式会社ときしろ 代表

[Profile]1991年兵庫県尼崎市生まれ。2015年関西を拠点にカメラマンとして独立。2020年イメージスタジオ109在籍、2022年再び独立。2024年株式会社ときしろ設立。広告・PR関連のスチール、ムービー撮影に広く携わる。

[主な仕事]恋するMLB(Abema)、Prime Video(Amazon)、adidasなどのメインビジュアルの他、重盛さと美の写真集『ANGEL』では撮影から制作まで担当。

[自社サービス]「明日死ぬかもしれないから撮る写真」

私たちは多様なクリエイターと共創しながらクライアントの課題解決に取り組んでいます。
FOCUS ON CREATORSでは、各分野で活躍するクリエイターに仕事への想いや強みなどをインタビュー。生の声をお届けします。

クリエイティブへのこだわり

自分のこだわりは排除し、
お客さまの意図を具現化していく

同業の方との差別化も含め、クリエイティブへのこだわりとしてどんなことを考えていらっしゃいますか。

川田氏 まず僕はあくまでも商用カメラマンで、お客さまが欲しいものを具現化することが自分の仕事だと考えています。その中で自分のこだわりはできるだけ排除するようにしています。そう言うとプライドがないように聞こえるかもしれませんが、お客さまがこういう意図で作ったから「こう撮ってほしい」という場では、相手の意図を汲み取りながら仕事をすることが大切です。もちろん自分の色を乗せてもいいのですが、まずはお客さまの色に染まれるようにしています。

相手の意図を汲むには洞察力、想像力など、写真の技術とはまた別の能力が必要になりますね。

川田氏 そこに自分の差別化ポイントがあるというか。単純にコミュニケーション能力があるよという話ですが(笑)。あらゆるデジタル技術が進歩した今、カメラマンという仕事はもう技術的にはほぼ差別化できないように感じていて、では自分は何を強みとして打ち出せるのかというと「お客さまの意図に沿う」「はじめましての人と距離を詰められる」ことだと思っています。僕がこの強みを持てているのは、ブライダル写真の仕事からスタートしたからで、何千件もの撮影を通して人と向き合ってきた経験が活きています。あるタレントさんからは「人情派カメラマン」と呼ばれています(笑)。

人との距離はどうやって詰めるのですか。中でも撮影対象者がモデルさん、タレントさんの場合は難しさがあると思いますが。

川田氏 「川ちゃんでーす!」と両手を広げて自分から開いていきます。短時間の撮影などでは一気にいかないといけないし、でもグッと来られたくない人のようだったら調整します。

クリエイターとしてのはじまり

兄の結婚式で急いで手に入れた
中古カメラ

そもそも、カメラを仕事にしていこうと思われたのはいつ頃でしょうか。

川田氏 カメラを始めたのは大学生の時です。兄が結婚することになったのですが、式場に写真を頼むと高いから止めたと聞きまして。撮影の経験は一切ないのになぜか「撮ってあげたい!」という気持ちになり、急いで中古カメラを買いました。必死で覚えて下手なりに撮った写真をプレゼントしたところ、すごく喜んでくれて「写真って意外に面白いな」とのめり込みました。とはいえ仕事にするつもりはなく、就活はテレビの制作会社を志望していましたが受からず、「じゃあ、写真関連でも」と受けた会社は全部受かり、こっちの道に行けということかと悟りました(笑)。

新卒入社した会社を経てすぐにブライダルカメラマンとして独立し、順調に仕事も増えていきました。ところが、技術面や売上が頭打ちになり、いったん立ち止まってやり直そうと東京へ来ました。東京では大御所カメラマンの門を叩いてもみたのですが、受け入れてもらえず、広告スタジオに拾ってもらいました。大きい案件ばかり扱う大きなスタジオで、広告写真の基礎から若い子に交じって学びました。激務でしたよ。子どもも生まれていたのに(笑)。でも、そこでの仕事が、再度、独立するためのステップになりました。

社名に込めた想い

撮影を通じて気づきを生む
「余白」を提供

2024年に会社を設立されています。「株式会社ときしろ」の社名には、どんな想いが込められていますか。

川田氏 会社名は、ご縁があった方の写真集のタイトルを使わせていただいています。その写真集は、たまたま知り合った方が「父(森脇亨氏)が亡くなり、生前に趣味で撮っていた写真をアルバムにしたので、よかったら見てください」と贈ってくださったもので、「時代」と書いて「ときしろ」と読む意味に感銘を受けました。~糊代、伸び代、縮み代のように、外からは見えない大事な"余白"が時間にもあるとしたら~それを時代(ときしろ)と呼ぶと森脇氏が考えた言葉です。

もともと僕が会社のミッションとして考えていたことは、撮影を通じて「今ある何かに気づいてほしい」という想いだったので、時間を綴じて写真を撮ることは、撮影対象者に「気づき」を生む"余白"を提供することではないか?と想起し、「時代(ときしろ)」という言葉と会社のミッションが紐づきました。

撮影で大切にしているのは自分の写真を「これが正解」と思わないようにすることですね。だいたい自分が撮った写真が「正解」だとカメラマンは思いがちで、自分にもそういう節があるわけですが、解答としてはこっちもあるし、あっちもある。「正解」は、いくつもあることを承知した上で、お客さまに伝わる仕事をするように心がけています。

今後の夢とビジョン

クリエイターさんとのコラボで
仕事の幅を広げていく

一般の方を撮影する「明日死ぬかもしれないから撮る写真」という自社サービスがあります。この仕事は、川田さんの中でどんな位置づけになっていますか。

川田氏 このサービスは、家族の間で祖父を撮影したいと言っていた翌日に祖父が急死してしまい、思いを果たせなかった経験から生まれたものです。「今を残すこと」の重要性は、「最高の笑顔を残しましょう」といったキレイな言葉では伝えきれないと思い、日本ではタブー視されている「死」という言葉をあえて使っています。会社のミッションである、撮影を通じて「今ある何かに気づく」機会がまさにこのサービスでもあるので、僕の中では仕事のベースでもありマインドそのものでもあります。

その意味では、最初に質問された「クリエイティブのこだわり」は、会社のミッションにしている「今、ある何かに気づいてもらう」というところも答えになるかもしれません。

今後、新たにやってみたい仕事、描いているビジョンはありますか。

川田氏 毎日、思っているのですが、もしかしたらカメラマンじゃなくてもいいかもと(笑)。もちろん写真もカメラマンという仕事も好きという前提はありつつ、自分が成し遂げたいこと、お客さまにお届けしたいもの、社会貢献できることは何かと言ったら、手段は写真に限らないかなと。いろいろなクリエイターさんと一緒に、株式会社ときしろとして仕事を受けられる形にしたいという夢を描いています。海外でもどこでも仕事があれば行きます!

WORKS過去の実績

Editor's voice

あたたかな空気で現場を包み、撮影対象者の表情を和らげる気遣いの人。川田さんの醸し出す色が「人情派カメラマン」という言葉につながっているのだと思います。人物から商品撮影までジャンルは広く、いくつものパターンを提案してくれるので頼りにしています。

クリエイティブコラボは、コラボレーションの力で
新しいサービスや価値を提供していきます。
一緒にコラボしたいクリエイター、企業の方、
ぜひお気軽にお問い合わせください。

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