INTERVIEW
株式会社ドローンゲームス 代表取締役 黒田 潤一氏
目指すのは
「ドローンネイティブな社会」。
クリエイターの融合が
創り出す新しい価値
ドローンがようやく世の中に知られるようになり始めた2014年頃から、その可能性に魅せられビジネスをスタートさせた黒田氏。黎明期を経て、高い利便性や娯楽性が理解されつつある今、ドローンをどう社会で活かそうとしているのか。「CREATIVE COLLABO」のパートナークリエイターでもある同氏にお話を聞きました。
ドローンとの出会いと現在
社会実装が
徐々に進みつつある
「第2波」のフェーズ
ドローンと初めて出会ったのは20歳の頃。学生時代から体育の家庭教師をやっていたのですが、子どもを教えていた公園の片隅で、妙なラジコン?を飛ばしているおじさんが目に入ったんです。聞くと「ドローン」だと教えてくれて、撮影した動画を見せてもらうと、まるで鳥の目線から周囲を見たような景色で衝撃を受けたんですね。そこで、「教えている子どもたちの姿をこれで撮影して見せてあげたら喜ばれるんじゃないか?」と考えて、すぐにアマゾンで購入。それが始まりでした。
あれから約10年が経ち、現在ドローンを取り巻く環境は「第2波」というべき、社会実装が徐々に進んでいるフェーズにあります。業界への参入企業が増え、ドローンのもつ価値が、社会で役に立つものとして受け入れられるようになってきました。その主なものは、「無人化」と「省人化」。これまで人がやっていたことをドローンが代行し、コストやリスクを軽減していく。さまざまな社会課題を解決するための活用が浸透しつつあります。
具体的には、点検・物流・農業・測量・警備という5つの要素が挙げられます。たとえば橋梁工事やマンションの建設工事における高所の点検では、人の代わりにドローンが役割を担い、現場の作業員を危険から守っています。また農業においても、いま私たちが食べているお米の多くはドローンによる農薬散布で作られたもの。その他の未開拓の分野も含めて、ドローンが社会で果たしていく役割は今後いっそう高まっていくと思われます。
「ドローンネイティブな社会」の実現へ
エンターテインメントとの
融合で、
ドローンを
より身近な存在に
こうした社会実装をさらに進めていくためにも、ドローンを一般の方にとっての、より身近な存在にしていかなくてはなりません。以前、ソフトバンクの孫正義さんが人型ロボットのペッパーを売り出したときに、「ロボ・ネイティブな社会にしていく」と説明しました。ロボットが自然と身の周りにある社会の実現を目指すという意味ですが、私は同じように、「ドローンネイティブな社会」にしていく必要があると思っています。
そのためにはどうするか――。分かりやすいのが、多くの人が楽しめるエンターテインメントの世界において、ドローンとの接点をどんどん増やしていくことでしょう。ドローンの楽しさやおもしろさ、便利さなどの価値に、たくさんの人に触れてもらえる機会を創る。それにはまず、エンターテインメントの場がやはりふさわしい。ドローンとエンターテインメントの融合に注力していきながら、ビジネスへの汎用や社会実装を進めていきたいと考えています。
アーティスト・イン・レジデンスへの参画
ドローンがもたらす
新しい映像が、
地域の魅力創出に
つながることを実感
具体的な取り組みの一つとして、「アーティスト・イン・レジデンス(AIR)」の中で行った、ドローンの空撮コンテストがあります。AIRは、アーティストを一定期間地域に招聘し、芸術創造活動の環境を提供する事業です。それと連動する形で、日本中のドローンのトップアーティストの方が北海道・釧路に集まり、空撮作品を創作するコンテストとして開催されました。
これまでも、地域の魅力を紹介するプロモーションビデオはありましたが、ドローンを使った空撮で創る動画は、従来のものとはまったく違います。今までは地上に立つ自分の背丈の目線でしか見られなかった世界が、いきなり身長が30メートルになったような驚きを覚えるもの。自由に360°の空間を動き回りながら、出会ったことのない景色を切り取り、見る人に提供できるわけです。
この釧路で行われたAIRに、私も関わらせていただきました。そこでは、白銀世界を機関車が通る景色を間近に見るだけでももちろん美しいのですが、ドローンで撮った俯瞰の画では、背後にそびえる雪山や見渡すかぎりの真っ白な景観と相まって、自分の視界では見たことのなかった圧倒的な世界観が目に飛び込んで来るんですね。
これまで気づかなかった地域の魅力を、ドローンの空撮で切り取っていくことで、新しい感動と共に見る人に伝えられる。あらためて、地域の財産の再発見につなげることができるのが、ドローンのもたらす価値だと実感しました。AIRでの作品映像は、空港や地域のイベントで流すなど長く活用できることも含め、自治体の観光促進に役立つ良質の資産として提供できたように思います。
ドローンの価値をどう伝えるか
クリエイターの
ネットワークを活かし、
自治体とのコラボに注力
こうした活動に注力しつつも、まだまだ多くの人にドローンを身近に感じてもらえるような社会には至っていません。段階を踏みながら、社会実装を目指して「ドローンネイティブな社会」にしていくことがいまの目標ですが、その意味でも、今後はいっそう各地の自治体とうまく連携していくことが大切です。
ドローンのもつ価値や安全性、信頼性を一般の方に伝えていくには、一企業の発信だけではどうしても限界があります。その点、自治体と一緒に進めていくことでメッセージとして伝わりやすくなり、それがドローンの普及にもつながるわけです。そう考えて、いま全国の1800の自治体を一つずつ、地道に丁寧にあたっていくことを行っています。
そこで活きてくる当社の強みが、ドローン事業におけるクリエイターとのネットワークなんですね。空撮であれば、私がプランニングディレクターとなり、ドローンを実際に飛ばす人、動画を編集する人、CGを作る人…などのクリエイターで制作チームを編成しています。加えて、映像の認知度を上げるためのPRや、地域や自治体の課題解決までを提案できるビジネスコンサルタントを含めたプロジェクトとして進めることができます。
たとえば自治体や企業のニーズや課題に対し、ドローンをどう活用すれば答えが得られるか、といった具体的なソリューションにまで落とし込んで提案する。それを可能にしていくクリエイターのネットワークを有しているのも、当社が早い段階からドローン事業を手がけていたことから生まれたアドバンテージだと思っています。
ドローンの持つ可能性とは
テクノロジーと
リンクすることで、
社会の利便性を高める
エレメントになる
こうしたアプローチを広く自治体に行っていくなかで、当社においても、ドローンの新たな価値創造につながる接点がいろいろなところで生まれています。たとえば、政府が進める「スーパーシティ」構想に手を挙げている前橋市との取り組みの中で、ドローン物流に関する施策の提案を行っているのもその一つ。最新のテクノロジーとリンクすることで、ドローンは社会の利便性を高めるための優れたエレメントになり得るのです。
未来型の社会に向けて、ドローンの持つ可能性には際限がありません。その姿をどのように具現化していけるのか、様々なクリエイターとのコラボレーションが、きっとそれを現実のものにしていくはず。世のなかに新しい価値を提供できるものであり、そこに暮らすみんながワクワクできるものであると思っています。
ドローンが媒介することで、自治体や事業会社、そして市民のみなさんのいずれにもメリットが生まれるような環境を創りたい。当社が接着剤となることで、ドローンを使った新しい住民サービスが生まれていく突破口になればいいと思います。だからこそ、異なる業種からどんどん私たちの業界に参入してほしいですし、いろいろなクリエイターの方々と、ぜひ一緒に夢を描いていきたいですね。
<ドローンゲームスとCREATIVE COLLABOしたいクリエイター募集>
クリエイティブディレクター
これまでになかった斬新な広告を、ドローンを用いて創造したいと思っています。ドローンの新しい使い方を発案しながら、クリエイティブに落としこめる方を募集します。
CGクリエイター
ドローン空撮映像だけでは伝えられない魅力を、CGと組み合わせて発信していきたいと考えています。「ドローンを使ったリアル+CGを使ったバーチャル」で、新しい表現を一緒に生み出していきませんか。
ご応募は「クリエイターENTRY」からお願いします。
※ご要望の欄に、応募職種を記載ください。
クリエイティブコラボは、コラボレーショの力で新しいサービスや価値を創造していきます。
日本文化を次世代に継承するプロジェクトや、メタバース・NFTを活用した地域活性、アートと教育など、さまざまな企画を進行中。
一緒にコラボしたいクリエイター、企業の方、ぜひお気軽にエントリー&お問い合わせください。