INTERVIEW

滋慶学園COMグループ 高等課程 副校長 加藤 洋介

出版社や芸能プロダクション勤務などを経て、滋慶学園COMグループへ。現在は同グループの高等課程・高等専修学校の副校長を務める。韓国エンターテイメント業界に人脈を持ち、国内で行われるK-POPオーディションのほぼ全てに関わっている。

自分らしい“魂”で
勝負できる時代。
バーチャルコンテンツで
生徒たちと世界へ

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2Dや3Dの仮想キャラクター(アバター)を介して動画配信を行う「VTuber」。その市場規模は今や1200億円に達するといわれます。こうしたバーチャル空間で活躍するパフォーマーを目指せる学校やコースを展開しているのが、滋慶学園COMグループです。VTuberになるための最先端の学びとは? その先に見据えるバーチャルの未来とは? 高等課程副校長の加藤氏にお話を聞きました。

職業的な学びができる高等課程

「好き」や興味・関心を出発点に、探求の根を広げる

滋慶学園COMグループは全国に82校の専門学校を展開する、国内最大規模の専門学校グループです。その中で私は、高等課程・高等専修学校を設置している13校の副校長を務めています。国語や数学などの普通科目に加えて、職業的な学びを15歳から深められる点が特色で、企業やプロフェッショナルと連携した授業などを通して、生徒たちは業界で通用する専門スキルを実践的に学んでいきます。

一般的に、中学校卒業後は公立や私立の高等学校に進む人が大多数の中で、高等課程・高等専修学校を選ぶ人は2000人に1人だそうです。私はいつも学校説明会や体験授業に参加してくれた中学生の皆さんに「よくここを見つけて来てくれたね」と声をかけて、行動力をとにかく褒めます。好きなことや興味・関心を原動力に、自分でアンテナを張って調べて来る人が多いですね。

子どもの中にある興味・関心の種から、やがて芽が出たとき、周りの大人はしばしば「それは無理だよ」「現実的じゃない」と芽を摘みがちです。けれど、ここ高等課程は2000分の1の選択をした人が集まる場所。周りの仲間や先生たちが口々に「それいいね!」と応援してくれる環境です。だから芽が摘まれずにどんどん伸びて、それぞれに違う「表現の花」を咲かせます。この花はいずれ枯れるのですが、それは自然なこと。根っこがしっかりしていれば、必ず次の花を咲かせて、10代の頃には想像もしなかったような20代のキャリア、30代のキャリアに繋がっていきます。まずは、興味・関心の種から「探求の根」を伸び伸びと広げていくことが大切で、そのためのカリキュラムや環境を高等課程では用意しています。

VTuber専攻を設置

身につく幅広いクリエイター要素が強みに

2025年4月に開設した「東京デザインテクノロジーセンター専門学校 高等課程」には、専攻の一つに「VTuber&クリエイター専攻」があります。また、東京、大阪、福岡、名古屋、神戸にある「スクールオブミュージック&ダンス専門学校 高等課程」にも、バーチャル・パフォーマーコースの中に「VTuber専攻」を設置しています。VTuberの市場は年々拡大を続け、今や1200億円規模といわれますが、親御さんの世代にとっては、職業としてイメージしにくいかもしれません。しかし実は、VTuberになるための学びを通して、幅広いクリエイター要素を身につけることができ、将来の可能性は大きく広がります。

少し詳しくご紹介すると、VTuber専攻では、VTuberの“中の人”として活動するために必要な歌やダンス、トークなどのパフォーマンススキルを学びます。さらに付随して、映像編集や音楽制作、プロモーション、マーケティング、マネジメント、企画立案といった幅広いクリエイティブのスキルを、業界の第一線で活躍するトップクリエイターの講師から学べるカリキュラムになっています。これによって、バーチャルのクリエイティブを中心に、業界内の関連する多様な職業を目指すことができます。将来VTuberとして自身の配信活動をしながら、安定的な収入を得られる仕事も同時に持ち、両輪で活動することが可能になるのです。

授業の一環として、実際にVTuber活動を展開していることも大きな特色です。4人のVTuberからなるオリジナルのアイドルユニット「SO.ON project LaV(ソーオン プロジェクト ラブイ)」を学園で運営。メンバーの“中の人”をはじめ、キャラクターデザイン、ヴォーカル、ダンスのモーションキャプチャーなどを全国の高等課程・高等専修学校の生徒たちが手がけています。楽曲配信や音楽ライブの開催、メタバース空間での⾳楽イベントへの参加など、活動は多岐にわたります。

LaVの活動を通した生徒たちの成長には目を見張るものがあります。口数の少なかった生徒が、アバターを介して自分を表現するなかで、表情がどんどん明るくなってよく喋るようになる、といった変化をたくさん見てきました。関わる先生や仲間に励まされ、次のステップに向かって挑戦を重ねるうちに、生徒は自己肯定感を高めていきます。そして「自分が応援してもらった分、今度は誰かを応援したい」と新しい目標が芽生えていきます。実は、アバターの外見や性格が本人の意識や行動に影響を及ぼす現象は、「プロテウス効果」として学術的にも説明されています。生徒たちの見違えるような成長や変化を目の当たりにできることは、私にとって一番うれしい瞬間です。

「SO.ON project LaV(ソーオン プロジェクト ラブイ)」
ライブの様子

時代の潮流を読む

K-POPもVTuberも人気拡大を早くから確信

バーチャル・パフォーマーコースが開設されたのは2020年4月です。私はその立ち上げ準備から関わりましたが、当時すでに「VTuberは今後のエンターテインメント業界を席巻する」と確信していました。なぜなら、年齢や性別、外見に関係なく、その人の中身で勝負できる新しい時代が来たと感じていたからです。VTuberの“中の人”を「魂」と呼びますが、自分らしい「魂」で勝負できる時代が来たということ。さかのぼると2018年にK-POPコースを新設したときも、当時は今ほどK-POPが注目されていませんでしたが、同じように「これは絶対に来る」という確信がありました。

表面的なトレンドにとどまらないエンターテインメント業界の大きな潮流を捉えて、先を読むことができたのは、私自身がこれまで出版編集や芸能プロダクションのマネージャー、独立起業など、さまざまなキャリアを経験してきたことが関係していると思います。そして、学校教育に携わる現在に至るまで、一貫してコンテンツビジネス周辺に身を置いているという共通軸があります。大きくキャリアチェンジをしたようで、意外とずっと繋がっていることに気づきます。

VTuberは一見すると、かわいいアニメキャラクターが喋ったり歌ったりするコンテンツ、という捉え方になるでしょう。しかし本質を掘り下げていくと、魂で勝負する時代がもう到来していて、それを体現するのがVTuberなのです。かつてなら、自分の顔を出さないアーティストの活動が成立するとは誰も想像しなかったのが、今では続々と登場して活躍しているのはご存知の通りです。こうしたバーチャルパフォーマーの文化は日本発で、中でもアニメの進化系であるVTuberは、日本だから生み出せたコンテンツといえます。VTuber をはじめとするIP(知的財産)ビジネスはこの先、日本が世界で勝負できて、なおかつ世界に貢献できる領域。市場は今後も伸び続けるでしょう。

バーチャルやメタバースの空間は、人間のリアルな姿かたちが表に出ないからこそ、その人らしい表現やエモーショナルな部分が際立ち、見る人を魅了します。今後はアバターを介して、例えば身体に障害がある人も、その人らしさを発揮して仕事ができる時代が来るでしょう。これまでのような物質的な豊かさよりも、目に見えない精神的、感覚的な豊かさに価値を見いだす社会に、世の中がどんどんシフトしていくと私はみています。

企業とのタイアップも

多彩なコラボで生徒のチャレンジの機会を広げたい

2025年6月にリリースされたLaVの第9弾楽曲は、あいち銀行の応援ソングとして制作されました。今後もさまざまな企業とのコラボレーションやタイアップを広げていきたいと考えています。生徒たちの感覚の新しさや鋭さは私たち大人よりも間違いなく優れていて、最先端のテクノロジーを使いこなす吸収力も10代ならではです。そんな瑞々しい感性を持つ生徒たちが加わるコラボだからこそ、生み出せるものがあると感じます。第一線の仕事の現場に触れて、生徒たちの経験の幅も豊かに広がります。

多くの教育機関は、子どもたちが間違えないように、失敗しないようにと教えるでしょう。私たちは真逆で、どんどん挑戦して失敗して、つまずいて、喧嘩して、遠回りすることを全肯定します。枠に「収まれ」ではなく、「はみ出せ、飛び出せ」と背中を押し続ける学校です。自分が好きなことややりたいことがあるのは、本当に素晴らしいこと。その「好き」を追求できる時代になったのだから、生徒たちには思う存分に挑戦してほしいですね。チャレンジする若い世代を育てて世に送り出すことが、この国の未来を明るくし、日本が世界に貢献することにも繋がると信じています。

世界には面白くて楽しいこといっぱいあります。国内外からそうした面白いことを見つけて持ってくるのが私の仕事。それを授業やプロジェクトにして、最先端の学びを提供していきたいと思います。いま目指しているのは、生徒たちが作ったコンテンツを世界に持っていくことです。LaVはこれまでメタバースイベントへの参加経験がありますが、バーチャルアイドルとして海外のリアルな音楽フェスに参加してパフォーマンスを披露することが、目下の大きな目標です。

クリエイティブコラボは、コラボレーショの力で新しいサービスや価値を創造していきます。
日本文化を次世代に継承するプロジェクトや、メタバース・NFTを活用した地域活性、アートと教育など、さまざまな企画を進行中。
一緒にコラボしたいクリエイター、企業の方、ぜひお気軽にエントリー&お問い合わせください。