INTERVIEW

サッポロ不動産開発株式会社
恵比寿事業本部 エリアリレーション部 高木 顕一郎
古村 初音
東急不動産株式会社
都市事業ユニット 都市事業本部 ビル運営事業部 織田 裕至
株式会社アトレ 恵比寿店
営業課 販売促進 広報担当 小暮 健人

「恵比寿文化祭」は2011年にサッポロ不動産開発の呼びかけで始まり、2023年で13回目を迎えたイベント。出演者や出展企業、企画者も含め、恵比寿にゆかりのある人たちが皆で作り上げる「メイド・イン・恵比寿」のお祭りとして街に定着している。

街のあちこちを舞台に、
街の人々と共創する。
恵比寿の魅力とカルチャーを
発信する“文化祭”が進化中

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恵比寿に関わりのある企業や団体が参加し、毎年秋に開かれている「恵比寿文化祭」。2023年も9月30日、10月1日の2日間にわたり開催され、メイン会場の恵比寿ガーデンプレイスを中心に多くの来場者でにぎわいました。「恵比寿」を共通項につながる人々による、コラボレーションの結実ともいえるこのイベント。企画・運営に携わるメンバー4名に、文化祭に込めた思いや今後の展開についてお話を聞きました。

2011年から毎年開催

ガーデンプレイスを晴れの舞台に。地元の声をきっかけにスタート

「恵比寿文化祭」はどんなイベントですか。皆さんの関わりも含めて教えてください。

高木恵比寿の街を舞台に、恵比寿に関わる方々と共につくり上げている年1回の文化祭で、これまでに13回開催しています。2023年は恵比寿にゆかりのある71の企業・団体が参加し、開催規模としては過去最大でした。私と古村はこのイベントを主催するサッポロ不動産開発の社員で、恵比寿文化祭のそれぞれ主担当、副担当として企画や運営に携わっています。

古村2023年のテーマに据えたのは「みんなで、恵比寿のあちこちで、文化祭」です。前年までは恵比寿ガーデンプレイス会場が中心でしたが、今回はそれに加えて、駅の東口エリアの恵比寿ビジネスタワー、駅直結のアトレ恵比寿、さらに街なかの個人店など、恵比寿のあちこちに会場を設けて開催しました。

左から古村さん、高木さん、織田さん、小暮さん

織田私は恵比寿ビジネスタワーを管理運営する東急不動産の一員として、恵比寿ビジネスタワー会場の責任者を務めました。前の年もブース出展で参加したのですが、今回は色んな方に出展いただき、会場のまとめ役として深く関わりました。オフィスビルである恵比寿ビジネスタワーに、幅広い世代の方々にお越しいただく絶好の機会とあって準備から力が入りました。

小暮アトレ恵比寿店で販売促進と広報を担当しています。今回、恵比寿文化祭に参加するにあたって、「有隣堂」「ビームス」の2店舗に声をおかけし、企画の準備を進めました。その中で気づいたのは、文化祭というコンセプトは、商業施設と親和性があるということ。どんな出展内容にするか、各店の個性や創造性を出しやすいですよね。実際に、それぞれのお店独自のカラーや創意工夫が発揮された企画になりました。

高木遡ると、恵比寿文化祭の初開催は2011年です。伝え聞いた話では、「ガーデンプレイスの大屋根の下で、普段習っているチアリーディングを発表できたらいいな」という地域のお子さんたちの声がきっかけだったとか。晴れの舞台に恵比寿ガーデンプレイスを希望してくださったわけで、施設を運営するサッポロ不動産開発として、その思いにぜひ応えたいと動き出したそうです。そうした背景もあり、開催初期はステージパフォーマンスが中心の構成でした。回を重ねる中で展示や物販、トークイベント、企画公募枠なども加わり、さらに恵比寿に本社を構える企業さんなど、街に関わりのある方々にも参加いただきながら規模を広げてきました。

ガーデンプレイス会場

街なかの各所が会場に

複数の会場をハシゴしてもらう仕掛けも工夫

「恵比寿文化祭2023」の当日の様子を教えてください。来場者の反応や、運営側としての手応えはどうでしたか。

古村メイン会場の恵比寿ガーデンプレイスでは、毎年ステージコンテンツが人気を集めます。今回も2カ所にステージを設置し、恵比寿にゆかりのあるサークルや個人、学校の部活動などによる音楽演奏、ダンス、空手演武など、見応えのあるパフォーマンスが繰り広げられました。このほかにもブース販売やワークショップ、飲食店舗による限定テイクアウトなどを行いました。

織田恵比寿ビジネスタワー会場では、テナント企業様によるワークショップやキッチンカーなどのコンテンツを実施しました。準備段階では、当日どれくらいの方が足を運んでくださるか未知数の部分が多かったのですが、ふたを開けてみれば近隣にお住まいのファミリー層を中心にたくさんの方にお越しいただけて。テナント企業様からは、日頃は接点があまりない地域住民の方々とも交流を深められて良かったという声が多くありました。

ビジネスタワー会場

小暮おかげさまでアトレ恵比寿でもワークショップが2店舗とも盛況で、スタッフの方からも「参加して良かった!来年以降も継続したい」との声をいただきました。普段は来店されるお客様と深くお話しする機会はなかなか持ちにくいものですが、ワークショップでのやりとりを通して、お客様の本音をお聞きできたり、お店の取り組みや考えを知っていただく機会にもなった、と。集客数以上にそこに価値を見いだされたようです。

高木今回は複数の会場を巡ってくださる来場者も多かったですね。5つの会場をコンプリートすると景品がもらえるシールラリーを実施するなど、回遊性を高める工夫が実ったと思います。シールの台紙を手に、楽しそうに歩く親子連れを街のあちこちで見かけて、うれしくなりました。アトレさんにも文化祭のリーフレットをたくさん置かせてもらって。各施設のご協力も大きいですね。

小暮駅直結のアトレはいわば街の玄関口。文化祭でも各会場への人の流れを生み出すことは大事な役割だと感じています。次回はさらに力を入れて、駅の改札を出たところから文化祭の雰囲気が伝わるような告知や装飾ができればいいな、と。そして今回は2店舗の参加でしたが、理想としては「どのお店でも何かの催しをしている」という状態にできたら、まさに文化祭ですよね。そこを目標に取り組みを広げていきたいと考えています。

織田恵比寿ビジネスタワーのすぐ近くに、恵比寿文化祭の常連企業でもあるSUBARUさんの本社ビルがあります。そこで今回、全体のシールラリーとは別に、この2会場を両方訪れた人向けの特典を用意したところ、SUBARUさんの来場者も例年より大幅に増えたそうで手応えを感じました。加えて、LUUP(ループ:小型の電動モビリティ)の臨時ポートを恵比寿ビジネスタワーと恵比寿ガーデンプレイスに設置したのも良かったですよね。

古村両会場は徒歩で10分ほどと少し距離があり、さらに恵比寿は坂道も多いので、移動の助けになればと今回LUUPの講習会の実施と臨時ポートを導入し、これも好評でした。恵比寿の街のあちこちを会場にした文化祭だからこそ、来場される皆さんにはぜひ街を巡ること自体も楽しんでいただきたいという思いがあります。

恵比寿の魅力と可能性

暮らす人、働く人、訪れる人が織りなす心地良さ

恵比寿という街の魅力や特色を、皆さんはどのように感じていますか。

小暮アトレは首都圏を中心に20 店舗以上の駅ビルを運営していますが、その中でも恵比寿はほかのエリアにはない特色を持ったマーケットと言えます。ファッションや情報に対するお客様の感度が総じて高く、社内でも「この商品のクオリティは恵比寿のお客様の期待に応えられるだろうか」「もっと洗練させるべきじゃないか」といった話し合いはよくありますね。渋谷に隣接しながらも、恵比寿は一歩引いたような落ち着きがあり、安らげる街という印象です。

織田恵比寿にオフィスを構えていると人材の採用をしやすい、というお話はテナント企業様からよくお聞きします。「この街で働きたい」と多くの方に思っていただけるイメージの良さや魅力が広く浸透しているのは、恵比寿ならではですよね。

古村恵比寿はおしゃれで洗練されたイメージがあり、特に女性にとって働きたい街、というのは私も共感します。その一方で私自身が恵比寿で働くようになって気づいたのは、昔から親しまれる気取らない中華屋さんがあったり、下町の風情が残るエリアがあったりする街の違った一面です。町会の活動も活発ですよね。そうした恵比寿のいろいろな側面も、文化祭を通して知っていただけたらと思います。

高木住む街でもあり、働く街でもあり、訪れる街でもある、という多面性が恵比寿の最大の特徴ではないでしょうか。だから歩いているだけで街の中に楽しみを見つけやすく、多様な人が思い思いに過ごせる居心地の良さもあります。恵比寿文化祭がメインターゲットとしているのは普段から恵比寿に関わりのある方々ですが、地元の人たちに楽しんでいただけるものができれば、おのずと外からも興味をひかれて訪れる人が増えるはずだと考えています。

まちづくりに携わる意義を、各企業の立場からはどのように捉えていますか。

小暮駅に店舗を展開するアトレは、別の用事のついでや通過点として立ち寄ってくださるお客様が多く、恵比寿店もそれは同じです。つまり街に「目的となるもの」を増やすことは、街の活性化につながるだけでなく、結果的にアトレに立ち寄って下さる方も増えます。地域連携や街の魅力発信にもっと関わっていきたいという声は社内でも高まっていて、ちょうどそのタイミングで今回の恵比寿文化祭のお話をいただけたのはありがたかったですね。

アトレ会場/ビームス

織田東急不動産では渋谷駅から半径2.5km圏内を「広域渋谷圏」と定め、このエリア全体の魅力向上をミッションに掲げていて、恵比寿も圏内に含まれます。今回のような地域イベントを通して、地元の方々やほかの企業の方々とも連携して一緒に街を盛り上げていくことは、恵比寿のみならず広域渋谷圏というエリアの価値を高めることにもつながります。そうすると圏内にオフィスを構えたいと考える企業さんも増えるはずで、まちづくりの取り組みの成果は、長い目で見て自社にも還ってくると捉えています。

高木街に魅力があるからこそ、そこに人が集まり、不動産の価値は保たれ続ける、という観点からサッポロ不動産開発としてもまちづくりを非常に大切に考えています。加えてサッポログループの立場で言うと、街の名前を冠するヱビスビールをブランドに持ち、グループにとっては札幌とともに恵比寿も祖業の地なんですね。それだけ深いゆかりのある街を盛り上げることは、会社として力を入れるべきことであり、グループのブランド力向上にも直結することだと受け止めています。

小暮確かにこの街とビールは切っても切れない関係ですよね。文化祭当日も街なかのブースにいたお兄さんがビールを飲みながら店番をしていて、楽しそうでいいなと(笑)。ビール好きの皆さんがおいしく一杯を傾けられるような場も、今後の文化祭で提供できたらいいですね。恵比寿らしく、品よく和やかにビールを楽しむ。そんな雰囲気を打ち出して街のブランディングにつなげられたらと思います。

さらに街ぐるみの文化祭へ

企業の垣根を超えた日常的なつながりが強みに

今後の展開や、力を入れていきたいことを教えてください。

織田地域の方々とも、さらに一体感を持って盛り上げていければ思っています。例えば町会と企業とが共同で企画を実施することもできそうですよね。今後に向けた課題としては、文化祭は週末に実施するので、平日に恵比寿にお勤めのオフィスワーカーの方々には参加していただきにくいのも実情です。文化祭に合わせて休日にも恵比寿に足を運んでいただけるよう、テナント企業様に向けた告知に力を入れるなど、工夫や呼びかけを重ねていきたいと思います。

高木日頃打ち込んでいることをお披露目する場として、地域の方々が恵比寿文化祭を大切に思ってくださっていることを実感します。出展企業さんや個人店さんからも、来場者と直接コミュニケーションができる機会として、文化祭に寄せられる期待は大きいですね。そうした皆さんの期待に今後も応えていきたいですし、訪れる方々にとっても「ここに来たら恵比寿のすべてがわかる」と感じていただけるような、“恵比寿の見本市”と呼べる文化祭を目指してさらに充実化を図っていきます。

小暮まちづくりで注目されるエリアって世界にいくつかありますよね。恵比寿の街が「日本だとあそこの取り組みはすごいよね」と皆さんにパッと思い浮かべてもらえる、5本の指にいつか入れたらと本気で思っています。そのためにも「恵比寿文化祭といえばこれ!」と周知されるような象徴的なコンテンツを、街の皆さんと一緒に作り上げていきたいですよね。

古村恵比寿文化祭をより多くの方に知っていただくためにも、情報発信にさらに注力したいと思います。恵比寿に在住・在勤の方にはかなり認知いただいているものの、外へ向けた発信という点ではまだまだ足りないのかなと。これまでも公式サイトやSNSなどで告知を行ってきましたが、次回はハッシュタグの活用なども含めて、より戦略的にPRを進めていく予定です。

小暮企業の垣根を超えて、こうして連携して街を盛り上げようという取り組みが13年続いているのは、実はすごいことですよね。

織田街のために一緒に何かをやりたい、という熱意を持った企業さんが恵比寿には多い印象です。魅力にあふれた街だからこそ、「もっとポテンシャルあるよね!」という思いが皆に共通してあるのかもしれないですね。だからほかの企業さんとも話しやすいですし、集まるといろんなアイデアが出て話が盛り上がります。

高木恵比寿に関わりのある企業同士、普段から定期的に情報共有をしたりイベントを共催したりと、連携の土壌ができていることも我々の強みですよね。恵比寿に在住・在勤の方々、この街で商売をされている方、あるいは趣味活動をされている方など、何らかの形で恵比寿に関わりを持つ皆様、ぜひ次回の文化祭を一緒につくり上げましょう。そして遊びに来てくださる皆様、恵比寿文化祭は街のみんなと共創するイベントとしてさらに進化していくので、ぜひ楽しみにしていてください!

クリエイティブコラボは、コラボレーショの力で新しいサービスや価値を創造していきます。
日本文化を次世代に継承するプロジェクトや、メタバース・NFTを活用した地域活性、アートと教育など、さまざまな企画を進行中。
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